「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で行われていた「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に関するテーマと参加組織を列挙してみます:
- 低消費電力AIエッジLSIの研究開発:株式会社ソシオネクスト
- FPGA IPと可変精度演算コアの融合による超低消費電力エッジヘビーコンピューティング向けSoCの研究開発:Preferred Networks
- 動的再構成技術を活用した組み込みAIシステムの研究開発:ルネサスエレクトロニクス株式会社
- 不揮発省電力FPGAコアを用いた低遅延AI処理コンピューティング技術の研究開発:ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社
- 動的多分岐・結合トレース型AIプロセッサのエコシステム開発:株式会社エヌエスアイテクス
- 完全自動運転に向けたシステムオンチップとソフトウェアプラットフォームの研究開発:ティアフォー
- スケーラブルなエッジHPCを実現するOS統合型プラットフォームの研究開発:イーソル株式会社
- エッジビジョンAIを超軽量化し短TATで実装する技術の研究開発:株式会社フィックスターズ
- ソフトテンソルプロセッサによる超広範囲センシングAIエッジ技術の研究開発:沖電気工業株式会社
- 5G時代を見据えた高度自律的学習機能搭載のためのAIエッジコンピューティング技術の研究開発:KDDI株式会社
- セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発:株式会社エヌエスアイテクス
- セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発:イーソル株式会社
- AIエッジデバイスの横断的なセキュリティ評価に必要な基盤技術の研究開発:産業技術総合研究所
ソフトテンソルプロセッサによる超広範囲センシングAIエッジ技術の研究開発
ソフトテンソルプロセッサ技術と紹介されている技術は、FPGA上にプログラム可能なハードウェア技術で、ディープラーニングに用いられるテンソル演算を低消費電力で実行することができるものです。中間データなどをCPUとやり取りしないためデータアクセスなどのコストを下げ、消費電力などの効率化が実現できるようです。また、ディープラーニングモデルを精度を保持したまま圧縮し、FPGA 上への実装、メモリ使用量の効率化などの技術に関する研究開発が行われていた模様です。
技術開発と社会実装はリンクによると以下の図で展開されていて、高精細なセンシング(8Kなどのデータサイズが非常に大きいようなセンシング)において低い消費電力の実現(GPU比 1/20)を目指している模様です。
5G時代を見据えた高度自律的学習機能搭載のためのAIエッジコンピューティング技術の研究開発
以下の研究項目を行っているようです
- AIエッジコンピューティング技術の研究開発
- 人工意識による高度自律的学習機能の研究開発
- AIエッジコンピューティングに基づくドローン制御技術の開発
- 5G通信環境によるエッジ-クラウド連携技術
人工意識による高度自律的学習機能の開発については以下で説明がされています。
関連
2022年12月からの改正航空法によってドローンは有人エリアでの目視外飛行(レベル4)が可能となり、物流、点検、警備・監視等の多様なフィールドでの需要が期待されています。ただしドローンはバッテリー駆動のエッジ機器であり、電力量や計算リソースに制限があるため、高い精度を得るための大規模なAIモデルの実装が困難であるという課題がありました。そのためAIモデルの精度を保持したままエッジデバイスの小規模化、低消費電力化するための技術が重要となってきます。
AIエッジモジュールをドローンに搭載することオンデバイスで推論処理を実現し、またモバイル通信を行うことで対象とする撮影画像のみをクラウドへアップロードすることで、対象物の検知からデータの保存までを end-to-end で実現できるとのことです。 またモデルの軽量化ではFPGAに加えて、AIチップ(Hailo社のHailo-8を用いたとのこと)での精度検証を行ったようです。
その他
- 自律化した高高度気球とドローンを組み合わせ広域調査を可能に
- 気球やドローンなどの画像情報は災害調査などに使用できるとのこと
- 自律飛行・自動飛行が可能なドローンが開発できれば?
- 屋内でも!ドローンの測位技術と自動飛行の仕組みを解説
- GPS での位置測位は精度が劣る(最大100mのズレ)ため、RTK方式(基準局からの位置情報を利用)、ネットワークRTK、SLAM方式などがあります
- 「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」
キーワード
- ドローンの自律飛行(レベル4)
- 強化学習
- World model, predictive coding base algorithm